ジュエリー地金

貴金属

ジュエリー制作に必要な貴金属(シルバー、ゴールド、プラチナ)の基礎知識

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ジュエリーでは、シルバー、ゴールド、プラチナといった貴金属を使います。

貴金属のことを地金と呼びます。

 

これらの貴金属がジュエリーに用いられるのは、

  • 色が美しい
  • 簡単には変化しない
  • 非常に軟らかく、容易に打ち延ばすことができる
  • 希少性がある

からです。

 

合金

ジュエリーに用いるシルバー、ゴールド、プラチナは、通常他の金属を少し混ぜ溶解して、合金にして使います。

そのままでは、軟らかすぎてキズがつきやすく、衝撃にも弱く、石がはずれたり変形したりするおそれがあります。

 

そのために他の金属を混ぜて貴金属の純度を下げ、硬くして耐久性を高めます。

一般的に金属は、純度が高いほど軟らかく、ほかの金属が混ざり純度が低くなると硬くなるという性質があります。

加える金属のことを割金といいます。

 

違う金属を1種類混ぜたものを二元合金

  • 2種類混ぜたものを三元合金
  • 多種類混ぜたものを多元合金

といいます。

 

シルバー、ゴールド、プラチナ以外に貴金属と呼ばれるものとして、

  • パラジウム
  • ロジウム
  • ルテニウム
  • イリジウム
  • オスミウム

があります。

 

これらは、硬くて加工に問題があるので、オスミウム以外は合金にするときの割金やメッキの材料として用いられます。

 

合金の品位を表す単位として、シルバーとプラチナは1000分率で表します。

シルバー950やPt900 などです。

 

Pt900とは、90%の純プラチナと10%の割金が入ったプラチナ合金という意味になります。

シルバー950は、95%の純銀と5%の割金が入ったシルバー合金という意味になります。

 

ゴールドは通常、金の含有量を24分率で表しています。

K(カラット)で表示されています。

これは、宝石の重量の単位であるカラット(carat)とは異なるのでご注意ください。

 

金の重量単位である1トロイオンス(31.103 4768グラム)が24カラットと定められていたため、純金をK24を表わします。

K18は、18/24なので、75%の純金と25%の割金が入った金合金という意味になります。

 

メッキと張り

貴金属以外の金属でベースを作り、表面だけを貴金属でおおった製品としては、メッキと張りがあります。

 

メッキとは、貴金属を金属面に付着させる方法です。

張りとは、物理的に貴金属を他の金属に張る方法です。

 

貴金属の特性

比重

比重とは、物質の重要とそれと同じ体積の水の質量との比のことをいいます。

比重が一番小さいのは、シルバー、続いてゴールド、一番大きいのは、プラチナです。

 

シルバーとプラチナでは、同じ白い貴金属でも比重は倍違います。

つまり、同じ体積のジュエリーならプラチナはシルバーの2倍の重量があります。

 

融点

融点とは、貴金属が溶け始める温度です。

融点が一番低いのが、シルバー、続いてゴールド、一番大きいのは、プラチナです。

 

加工作業で出る地金の小片や粉を溶解して再び使う場合、シルバーとゴールドはガスバーナーの炎で溶かすことができます。

しかし、プラチナはガスバーナーの炎では溶けないので、酸素バーナーを使います。

 

ろう付け

ろう付けは加工工程の中で重要な作業です。

この作業でろう付け温度を高くしすぎると地金を溶かすことがあります。

 

通常、シルバーとゴールドはガスバーナーで、プラチナは酸素バーナーでろう付け作業をします。

ガスバーナーの炎は1300℃、酸素バーナーは2500℃の高い温度になります。

 

ろう付けでは、各貴金属の融点以内でろう付け作業をすることが絶対です。

融点の低いシルバーや細い線を使ったゴールドのろう付けは、地金を溶かさないように温度調節をしながら作業します。

 

硬さ

金属の硬さは、ビッカース硬度で表されます。

この測定方法は、貴金属にダイヤモンドの四角錘の頂点を押し付けて四角のくぼみをつけ、その圧痕を測定して硬度を出す方法です。

数値が大きいほど硬くなります。

 

純銀は、25~100HV

純金は、25~70HV

純プラチナは、50~110HV

 

シルバー925は、70~150HV

K18は、140~240HV

Pt900は、60~130HV

になります。

 

加工硬化

金属は、延ばしたり曲げたり加工できるという特性があります。

同時に、外部から強い力が加わると硬くなる加工硬化という性質もあります。

 

ジュエリーの加工において、ヤットコで曲げたり、金槌でたたいたり、線引板で線を引いたり、というように地金に大きな力を加える作業が多くあります。

このように大きな力を加えると、地金が簡単に曲がらなくなるくらい硬くなります。

 

熱処理

加工硬化によって硬くなった貴金属は、そのまま曲げて成形することはできません。

無理に力を入れて曲げたりすると、地金にひび割れが生じることになります。

特に、K18が割れを起こしやすいです。

 

この硬さを元に戻すために、「焼きなまし」という熱処理を行います。

なましともいわれます。

 

金属の加工で不均衡になった内部組織が、適当な温度で加熱・冷却することにより、安定した組織構造になります。

 

硬くなりすぎたシルバーとゴールドの合金をなます時は、ガスバーナーで地金全体を大きな炎で熱し、熱した後に水に入れます。

プラチナ合金の場合は、バーナーで地金全体を熱した後、そのまま放置します。

 

ジュエリー制作の過程で、このなます作業を何度も行います。

 

熱伝導率

熱伝導とは、熱が他の温度の低い部分に伝わり、全体の温度が上がることをいいます。

熱伝導は、熱伝導率によって表されます。

 

金属は、一般的に熱伝導率が高いことで知られています。

シルバーの熱伝導率が一番高く、続いてゴールド、熱伝導率が一番低いのがプラチナです。

 

ジュエリーの加工では、ろう付けしながら各パーツを組み立てていきますが、熱伝導率が高いシルバーが一番作業が難しくなります。

ろう付けしたい場所に炎を当てると、熱がすぐに伝わり、すでにろう付けしてある箇所のろうが溶け出すことが多く、大変神経を使います。

 

熱伝導率が低いプラチナは、一番作業がしやすいです。

ろう付けしたい個所を熱しても他の個所に影響しません。

 

共付け

ろうを使わずに貴金属同士を溶接する共付けという方法があります。

接合面の貴金属を直接溶かして溶接する方法で、プラチナリングのアームを接合する時などに行います。

 

この場合でも、熱伝導率が低いプラチナは作業しやすいのですが、熱伝導率が高いシルバーは周辺部分まで溶かしてしまうこともあるので注意が必要です。

 

ゴールド(K18)

ゴールドは、美しさ、輝き、希少性から人々を魅了しつづけ、ジュエリーの素材として使われ続けています。

あらゆる金属の中でもっとも展延性にすぐれ、腐食しにくく、輝きが失われません。

 

純金K24のままでは、軟らかすぎてそのままではジュエリーには加工できないので、シルバーや銅などを混ぜて合金として使います。

シルバー地金やプラチナ地金の場合、合金の目的が硬さを増すことにあるのに対して、ゴールドは硬さを増すことに加えて、色のバラエティを出すこともあります。

 

割金の種類や混ぜる割合によって、さまざまに色が変化します。

割金にはシルバーと銅を用いますが、シルバーを多く加えると白っぽくなり、銅を多く加えると赤っぽくなります。

 

ゴールド合金で、ジュエリーに使われているのは圧倒的にK18です。

K18のゴールドは、純金K24のゴールドにシルバーと銅を25%混ぜた状態です。

 

K18は、

  • カラーバリエーションが豊富にあること
  • シルバーやプラチナに比べるとだいぶ硬い

という性質があります。

 

25%の割金の内訳は、

  • シルバー4に対して銅6 少し赤っぽい黄色(金)
  • シルバー5に対して銅5 黄色(金)
  • シルバー6に対して銅4 少し白っぽい黄色(金)

などがあります。

 

銅の比率が高いと赤味の強くなり、シルバーの比率が高くなると黄色味が強くなります。

一般的に使用されるK18は、黄色の金です。

 

これは、25%の割金の半分が純銀で、半分が銅です。

 

つまり、10gのK18のジュエリーの場合、

  • K24が7.5g
  • 純銀が1.25g
  • 銅が1.25g

となります。

 

K18レッドゴールド

割金の銅の比率が高まるほど、赤みが強くなります。

純銀と銅の比率が1対9になると、赤く見えます。

このような地金をレッドゴールドと言います。

 

K18ピンクゴールド

ピンクゴールドは、割金の純銀と銅の比率を2対8にして、パラジウムを少量(3~4%)と微量の亜鉛を加えた地金です。

ピンクゴールドは、人気がある色ですが、硬くて割れやすいため、加工やサイズ直しが難しい地金です。

 

K18ホワイトゴールド

ゴールドK24に、パラジウムを25%を混ぜたK18ホワイトゴールドもあります。

もともとは、プラチナの代用品として開発されたものです。

 

融点は、905℃になります。

 

ゴールド加工のポイント

ゴールドのデザインで重要なことは、色のバランスです。

宝石を使う場合、ダイヤモンドやカラーストーンとゴールドの色とのコンビネーションが大きなポイントになります。

 

18Kの加工の特徴は、その硬さです。

硬いために曲げにくく、他の地金よりも手間がかかる素材です。

加工硬化でさらに硬さが増すので、地金をなましながら作業をするということが大切です。

 

シルバーほどではないですが、バフの研磨材に反応し、地金が減ります。

なので、バフのかけすぎには注意しましょう。

 

シルバー(950銀)

シルバーは、白い貴金属です。

プラチナの渋い光沢に比べると落ち着いた柔らかい光沢が特徴です。

 

長時間経過すると、空気中の硫化水素と化合して硫化銀となり黒く変色します。

変色を防ぐための薬品も何種類かあり、その液に1、2分浸すと変色が防げるものもありますが、効果は数カ月程度です。

変色してしまった場合は、重曹を湿らせた布や歯ブラシをつけて軽くこすると元の白い表面に戻ります。

バフがけすることも効果的です。

 

純銀は軟らかすぎるため、ジュエリーとして使用する場合は、割金を加えてシルバー合金にします。

ジュエリー加工でよく用いられるのは、銀に銅を5%混ぜた950銀です。

 

950銀は、

  • K18より軟らかく加工しやすい
  • 融点はK18と同じく低いのでロウ付けの時に地金を溶かしやすい
  • 時間がたつと変色する

 

手作り加工では、950銀が主流ですが、鋳造しやすいためキャスティング用では925銀が多く用いられます。

925銀は、純銀に銅を7.5%混ぜたシルバー合金です。

 

融点は、930℃になります。

 

シルバー加工のポイント

プラチナやゴールドと比べると、比重が小さく、軽い貴金属で、価格も安いことが特徴です。

軟らかく強度の点では弱い部分もあるので、極端に細い線を使ったようなデザインは難しいかもしれません。

 

融点が低いので、ろう付けで地金が溶けやすい。

熱伝導率が高いので、石入りリングのサイズ直しが難しいです。

 

また、仕上げの工程で、きれいに磨いてもシルバーの白色の中にところどころ黒っぽい色が出ることがあります。

これを火むらといいます。

 

これは、地金が熱を帯びたときに起きる特有の現象です。

紙やすりなどで仕上げ直せば取り除くことができますが、中には直らないものもあるので注意が必要です。

 

シルバーはバフの研磨材に反応し、短時間で地金が減ります。

バフをかけすぎると地金が薄くなりすぎたりするので、かけすぎには注意しましょう。

 

プラチナ(Pt900)

プラチナは、日本で人気の貴金属で、ブライダルリングでは圧倒的なシェアを持っています。

色は、シルバーやホワイトゴールドに比べると、多少暗く渋みのある白色です。

 

プラチナにパラジウムを10%混ぜて、Pt900として使います。

これをベースに、銅やルテニウム、コバルトを加えたPt900もあり、用途に応じて用いられます。

 

Pt900は、

  • 粘りがあるためにK18や950銀に比べて仕上げに手間取る
  • 適度な硬さのため石留めがしやすい
  • 融点が高い(1755℃)ために溶けにくくロウ付けがしやすい
  • 極めて安定しており、変色しない

という性質があります。

 

プラチナ加工のポイント

プラチナは比重の大きい貴金属です。

そのため、重すぎて着用しずらいデザインにならないように注意します。

特にブローチなど大ぶりのデザインになるときは、空間をとったり、透かしを入れるなど、少しでも軽くなるようなデザインにすることをおすすめします。

 

プラチナは硬くないので、シルバー地金と同じくらいの感覚で曲げたり延ばしたりできます。

ろう付けに関しては、融点が高いため、地金を溶かしたり、ろうで地金を侵食することもありません。

 

ただし、ろう枯れには注意が必要です。

ろう枯れとは、強い炎でろう付けしたり、何度も炎をあてると、ろうが劣化します。

ろう枯れを起こすと、少しの衝撃でろう付けの箇所が取れてしまいます。

 

一度付けたパーツをはずすことも難しくありません。

熱伝導率も低いので、共付けや地金の部分溶かしも、ゴールドに比べれば難しくありません。

 

プラチナは、仕上げが難しく、時間がかかります。

特有の粘りがあり、研磨性がよくありません。

 

シルバーやゴールドは、バフで仕上げることができますが、プラチナはヘラと呼ばれる工具で丹念にプラチナの表面を磨いてからバフがけをします。

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