宝石の処理
宝石には、色や輝きを引き出すために人工的に処理されているものがあります。
代表的なものでいえば、ほとんどのエメラルドには白っぽく見えるインクルージョンを隠すためにオイルを染み込ませて透明度を上げています。
また、白っぽいヒスイに染色して鮮やかなグリーンにすることもあります。
ジュエリー制作の過程で影響があるので、どの宝石にどのような処理方法があるのか、加工するときの注意事項を把握しておく必要があります。
エンハンスメント
加熱
余分な色味を取り除く
ルビー、アクアマリン
色を明るくする
トルマリン、サファイア
色を濃くする
サファイア
色調を変える
シトリン、トパーズ
色を変える
オパール(白→黒)
含浸
無色オイル、樹脂などで透明度の改良
エメラルド
無色ワックスによる光沢の改良
ジェダイト
着色オイルをヒビ割れに入れて濃く見せる
ルビー、サファイア
着色オイルや樹脂で色を変える
エメラルド
充填
表面の小孔を充填
サンゴ
表面のキャビティ(小さな穴)に透明物質を詰めて、孔を分からなくする
ルビー、サファイア、エメラルド
トリートメント
着色・染色
色素により着色
オパール、ジェダイト、サンゴ、真珠、トルコ石、ラピスラズリ
コーティング
カラーアップ
ダイヤモンド
表面拡散
無色石を着色
サファイア、ルビー
放射線照射
無色石の着色、色の改変
ダイヤモンド、真珠、トパーズ、トルマリン
含浸
色の改変
エメラルド、ルビー、サファイア、オパール
透明度の改変
ジェダイト、トルコ石
充填
凹凸の充填
ルビー、サファイア、エメラルド
加熱
色の改変
オパール、ジルコン
天然石以外の石
天然宝石と区別して、
- 合成石
- 人造石
- 模造石
があります。
その中でも、合成石と人造石はジュエリーに使われます。
合成石と人造石は、色が鮮やかで、透明度も高く、しかも価格も手ごろという特徴があります。
また、天然石特有のインクルージョンもありません。
合成石
合成石とは、天然の宝石と同じ化学組成や結晶構造をもった人工鉱物のことです。
合成石と貴金属を組み合わせてジュエリーを制作することが増えています。
人工的に宝石をつくる研究が続けられていて、最初に成功したのは1904年にフランスの研究者によって製造された合成ルビーです。
当時は、鑑別技術が追い付かず、天然と合成の鑑別が難しかったようです。
今では、ダイヤモンド、エメラルド、ルビー、サファイア、アレキサンドライト、スピネルなど多数の合成石があります。
人造石
人造石は、天然石にはない化学組成や結晶構造をもった素材です。
もともとはエレクトロニクス分野で、工業用として合成素材が研究され、それがカットされてダイヤモンドの類似品として用いられるようになりました。
主なものとしては、YAG、GGG、CZ(キュービックジルコニア)などがあります。
この中で、人気が高いのはキュービックジルコニアで、カラーバリエーションやカットも豊富なため、ダイヤモンドの代用品として用いられています。
模造石
模造石は、宝石に色や外観を似せて作った宝石の代用素材です。
ガラスやプラスティック、陶磁器などの安価な素材で作られています。
模造石は、ジュエリーには用いられませんが、練習用やコスチューム用のジュエリーで使われます。
ダブレットやトリプレットなど、二重、三重に貼り合わせた石も一種の模造石です。