宝石

ジュエリー制作に必要な宝石の基礎知識

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宝石、天然石の品質を決める要素とは?

宝石、天然石は同じものはありません。

自然が作り出した芸術品といってもいいでしょう。

 

同じ石でも品質によって市場の価格がピンからキリまであります。

たとえば、ルビーと言っても数千円のルビーから数百万円、中には億を超えるものもあります。

 

その価値や価格というのはどうやって決まるのでしょうか?

宝石の価値を決める要素は以下のようなものがあります。

  • 鉱物名
  • 色、濃淡
  • 形、輝き
  • インクルーション
  • サイズ
  • 産地
  • 処理の有無

 

鉱物名

まずは、その石は何の鉱物なのを判別します。

 

地球上には、約5,000種類の鉱物が存在すると言われています。

その中から、宝石と言われているのは約100種類のみです。

 

たとえば、赤くて透明な石があるとき、ルビーなのか、ガーネットなのか、赤いガラスなのか、を判別します。

 

宝石の種類

ダイヤモンド   コランダム 宝石の中で最も存在感がある鉱物種です。 ルビー サファイア があります。   コランダムは、美しいだけでなく、耐久性があります。 ダイヤモンドに次いで ...

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色、濃淡

色の濃さというのも宝石の価値に大きく影響します。

ルビーは赤が濃ければ濃いほど価値が高いです。

 

形状と輝き

石のカットには様々な種類があります。

光をつかまえてモザイク模様のようにみえるブリリアントカットや丸いカボションカットなど石の魅力を引き出すカットがあります。

 

宝石のカット

宝石は、その持っている美しさを発揮させるために、石の特質に応じていろいろな形にカットされ、きれいに研磨されます。   カットは大きく2つに大別されます。 たくさんの面に磨かれ、キラキラと輝く ...

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インクルージョン

宝石、天然石は自然が生み出したもので、工業製品ではありません。

なので、石の中には何かしらの含有物があるのが普通です。

その含有物のことをインクルージョンと言います。

 

石の結晶が成長する過程で、石の内部に入り込んだ液体や気体、固体のことをいいます。

こはくの中に入っている昆虫や水晶に入っているルチル結晶などです。

 

ルビーの中に、もやっとした模様を持つ石もあります。

だからといって、インクルーションがあるからクオリティが低いと判断することはできません。

もちろん、市場ではインクルージョンが少ないほうが価値は高いのですが、全くインクルージョンがない石は、合成石やガラスの場合もあります。

どの石にどんなインクルージョンを持っているのかという知識を持つことが必要です。

 

インクルージョンが入っている宝石は、入っていない石に比べてショックに弱く、割れの原因になる場合があります。

また、サイズ直しなどで、石に熱が伝わったときにインクルージョンが膨張して石を変化させる場合もあります。

 

インクルージョンには、肉眼で見えるものと、ルーペで見ないと見えないものもあります。

加工する時には、ルーペでよく確認するようにしましょう。

 

サイズ(大きさ、重さ)

石のサイズは価格を決める大きな要素です。

 

宝石の重量単位であるカラットは、古くからアフリカやインドなどで宝石計量のおもりとして用いられたカロブの実に由来します。

カロブの実1個の重さが、約0.2gだったことから、1カラットは0.2gと決められました。

 

カラットより小さな単位として、ポイントがあります。

1ctは、100ポイントになります。

つまり、1ポイントは、2mg、0.01ctです。

 

日本では、業者間の取引の時に尺貫法が用いられる場合があります。

長年の習慣として、0.1~1.0ctの石について、分を用います。

1分は、0.1ctを意味します。

 

また、0.01~0.1ctのメレ石について、厘を用います。

1厘は、0.01ctを意味します。

 

たとえば、0.78ctの石なら7分8厘と表現されます。

 

産地

宝石と言われているルビー、サファイア、エメラルドは産地によって市場価格が大きく変わります。

それは、産地によって色や内包物、産出量などに大きな差があるためです。

 

産地は肉眼で判別できる石もあれば、分析器でないと判別できない石もあります。

たとえば、ダイヤモンドは原石の場合は産地はわかりますが、カットされると産地は特定できません。

 

処理

自然の状態で赤く透明なルビーは無処理のルビーとして高い価値を持っています。

薄い赤のルビーを加熱処理して、赤さを引き出すルビーは加熱ルビーとして、市場で宝石として取り扱われています。

人工的な着色された石は宝石としての価値はありません。

 

宝石の処理

宝石の処理 宝石には、色や輝きを引き出すために人工的に処理されているものがあります。   代表的なものでいえば、ほとんどのエメラルドには白っぽく見えるインクルージョンを隠すためにオイルを染み ...

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宝石の特性

地球上には、4000種以上の鉱物がありますが、ジュエリーとして用いられるのは、せいぜい40~50種くらいです。

 

宝石になるようなきれいな石は存在しますが、ジュエリーとして日常的に用いられるためには、美しさに加えて硬さや耐久性も必要です。

宝石になる条件

  • 美しさ
  • 耐久性
  • 希少性

 

また、宝石の物理的な特性として、

  • 硬度
  • 強度
  • 劈開

などが挙げられます。

 

硬度、強度

ジュエリー制作にとって必要な宝石の基礎知識は、硬度と強度です。

 

たとえば、エメラルドは硬度が比較的高いですが、石留めしたら石を割ってしまったということが起こります。

硬度が高いということは、ひっかき傷に対して石の抵抗力が強いのであって、強靭、つまり割れにくいということとは別です。

 

一番硬度が高いといわれるダイヤモンドでさえ、衝撃で簡単に割れることがあるのです。

 

宝石の場合、硬度はモース硬度で表されます。

モース硬度とは、ひっかきにどのくらい耐えれるかを測る硬度です。

 

モース硬度は、1~10の等級に分けられ、硬さの目安を知ることができます。

 

強度は、加えられた力に抵抗して壊れたり割れたりしにくい性質を測ります。

石留め中に衝撃で割れてしまうことがあるので、ジュエリー加工の場合、硬度より強度の方が大切です。

 

ジュエリー制作の各工程での注意事項

ジュエリー加工をするときに、ヤスリなどの金属の工具を使います。

 

手を滑らすと、石を傷つけたり、最悪の場合、石が割れたりします。

作業中の石の取り扱いには注意し、特に石留めの時は気を付けましょう。

 

石留め

キズつきやすい石(硬度の低い石)

琥珀、真珠、サンゴ

 

もろい石(靭性の低い石)

エメラルド、オパール、トパーズ

 

サイズ直し、修理

熱に弱い石

オパール、エメラルド、アメジスト、トルコ石、琥珀

 

洗浄

処理石

ジェダイト、その他着色、オイル処理している石

 

ロジウムメッキ

酸や高温に弱い石

真珠、トルコ石、ダイヤモンドを除くほとんどの石

 

石座作り

底部のカットの悪い石

エメラルド、ルビー、サファイア

 

色の薄い石

エメラルド、ルビー、サファイア

 

キズの多い石

エメラルド、トルマリン、アメジスト

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